師央がいきなり、伸び上がって手を振ろうとした。 「おーい、マ……」 呼びかけ方がおかしいだろ! オレは師央に飛びついて、口をふさいだ。 「ちょっと黙ってろ!」 鈴蘭はこっちに気付いていない。 校舎側に誰かがいる様子だ。 そっちに気を取られている。 やがて、その誰かもバラ園に出て来た。知らない男だ。 「師央、あの男を知ってるか?」 「たぶん進学科の人です」 うつむいた鈴蘭と、その向かいに立つ男。 男はしきりに頭を掻いている。真剣な横顔。ぎこちない距離感。 「告白、か」