その日の練習があらかた終わった。
オレは一足先に部室を追い出された。
「楽器だけで、もう一回、合わせるから」
オレも加わると言ったが、却下された。
喉を労われ、とのことだ。
代わりに兄貴に宿題を出された。
「新曲の詞、そろそろ書けよ。ガレージライヴには間に合わせたい」
兄貴が書けばいいのに、と反抗を試みる。
全員に却下された。
オレの乱雑でひねくれた詞の、どこがいいんだ?
仕方ない。
薄暗くなった校舎の中を図書室へ向かった。
鈴蘭と合流するためだ。
図書室の引き戸を開ける。
カウンターの連中がビクッとする。
怖がられるのはいつものことだ。慣れてる。



