師央が気の抜けた顔をした。ふにゃっと笑っている。
「そうなんだ。怖がって損した気分です。最初、本当に怖かったんですよ」
兄貴がニヤッとした。
「怖かったって、煥のことか?」
「はい」
「こいつは、いつでも、素で怖いだろ?」
「おい、兄貴!」
「ほら、すぐにらむ」
部室が笑いに満ちる。
オレはうまくそこに乗っかれない。
唇を噛んで、そっぽを向いた。
兄貴は、もうちょっとだけ慎重だったら申し分ないのに。
「おもしろそうだから」って一言で、全部が決まるんだ。
暴走族と呼ばれて否定しなかったのも、おもしろ半分だった。
なのに、オレたちは近隣で最強になってしまった。



