オレは屋上へ向かった。
四階から屋上へ続くこの階段には、めったに来ない。
一時期、昼休みの居場所にしようとしていた。
断念したのは、鬱陶しかったからだ。
カップルがしょっちゅう来る。
まわりが目に入らない様子で、告白もあればキスもあった。
もっと過激なのも見たことがあった。さすがに校内であれはヤバいだろ?
うんざりした。見たくないときに見せつけんなよ。
久しぶりの階段を駆け上がる。
屋上に出るゴツいスチール製のドアの向こうから、声が聞こえた。
《そんなに嫌わなくてもいいじゃん?》
理仁の声は、やっぱり異様によく響く。
オレはドアを開けた。



