放課後、部室に行った。
ライヴの日程が近付いている。
そろそろ本格的に練習しないとマズい。
部室に兄貴はいなかった。
牛富さんが兄貴の伝言を預かっていた。
「屋上に来い、とのことだ」
「鍵、開いてるのか?」
「理仁が開けたらしい。朝、煥も理仁に会ったんだろう?」
「ああ、あの軽いやつか」
「軽いな。煥とは正反対だ。まあ、だからこそ意外と馬が合うかもしれないぜ」
「冗談じゃない」
牛富さんはしゃべりながら、手のほうはスネアドラムの張りの調整に余念がない。
亜美さんはベースの弦を張り替えている。
シンセの雄はヘッドフォンを付けて自主練中だ。



