師央が突然、拳を固めた。
「心配しないでくださいね、煥さん。ぼくはこの時代で恋ができないけど、煥さんの恋は絶対、実らせますから!」
「は?」
「応援します! キューピッドになってみせますよ!」
「だから、何なんだ、それは?」
「キューピッドは、恋の仲立ちってことです」
「知ってる。そういう意味じゃなくてだな」
オレは髪を掻きむしった。
師央は力説を続ける。
「煥さんは、高校を出て一年後に結婚します。子どもができるんです。それがぼくってことになるんですけど。で、ぼくが産まれるのは、煥さんが二十歳のときです」
「意味わかんねぇ」



