微妙に誤解がある気がする。
兄貴は確かに、校則を守らせたがる。
その一方で、過激なポリシーも持ってる。
大多数が守れない校則なら、いっそのこと改めるほうがいい、と。
襄陽学園の校風はけっこう自由だ。
おかげで、兄貴は受け入れられてる。
こんなめちゃくちゃな生徒会長、普通いないだろう。
ふと、足音が聞こえてきた。
オレはとっさに校舎の陰に隠れた。
バラ園にやって来たのは、貴宏だ。師央と寧々のほうへ走っていく。
「すまん、遅くなった! 購買も自販機も、やっぱ混みまくってて」
貴宏が師央と寧々にジュースを投げる。
寧々が貴宏のオレンジ頭を小突いた。