何百人いるんだろう? ってくらいの女子の群れだ。
教職員も交じってる。
男子の姿もちらほらある。
師央がリュックサックを胸に抱いた。
「先に進めませんね。しかも、どんどん数が膨らんでいくし」
登校してきた連中が、わらわらと、兄貴たちに見惚れる群れに加わる。
集団催眠にでもかかったみたいだ。
ふと、兄貴がオレを見た。右手を挙げる。
兄貴の隣の男が、兄貴に話しかけた。
《ん? あれが噂の弟くん?》
嘘だろ?
どうして、声がここまで届く? そんなにハッキリと? 百メートルは離れてるし、間は人だらけなのに?
受け答えする兄貴の声は、まったく聞こえない。



