黒服たちが顔を見合わせた。


鈴蘭が、すがるような目をオレに向けた。面倒くせえ。



「もう聞いてるかもしれないが、オレは白虎の伊呂波、当代の預かり手だ。青龍の護衛なら引き受ける。昨日、傷を治療してもらった借りがあるしな」



鈴蘭が門を飛び出してきた。


一瞬、オレのほうへ手を伸ばそうとして、でもすぐに引っ込めた。


代わりに師央の制服の袖をつかんだ。



「さ、早く学校に行こう! あなたたち、おとうさまに伝えておいて。煥先輩がわたしを守るから平気だ、って。じゃあ、行ってきまーす!」



鈴蘭は師央を引っ張って駆け出した。