でも、苦手なんだ。触れられるのも、触れ合うのも、他人の体温や柔らかさも。 安豊寺の黒髪が近い。 いい匂いがした。 一瞬で息が詰まった。 安豊寺がオレを見上げた。 夜の中に輝く青い目に射抜かれた。 「じっとして。すぐに治すから」 安豊寺がオレの左の上腕に手のひらをかざした。 しなやかな形の手だ。 それが不意に、ふわりと発光する。 「この光って、安豊寺、あんたも能力者なのか?」 安豊寺の手から淡い青色の光があふれ出して、オレの腕を包む。 温かい。 やわやわと、湯の中をたゆたうみたいに。