読んでいる本の題名は『人生革命』。

 なんとも壮大である。



 (随筆は著者の価値観を深く知ることができるから読むと結構楽しいんだけど…この著者は出物事を淡々と書いているだけで思いが伝わってこない。あまり体験したことのように思えないな…)

 授業そっちのけで批評する始末である。







 そんな彼を睨む数学教師・田中さえがいた。

 由良星々は教師たちにとってとても扱いづらい生徒だった。

 授業は全く聞かずに自前の本ばかり読んでいるくせに、テストは常に満点。

 この学校は完全実力主義なので、モラルどうこうを言える教師はいない。



 だから、授業中にちょっとした意地悪をしたくなるのも致し方ないと言える。

 「由良くん、問5を答えなさい」

 由良という生徒はおそらく自分より頭がいいということは、田中自身、深く理解していた。

 だが、それでも自分が一生懸命授業をしているのに聞かない生徒がいるのはいただけない。

 だから、不意打ちで問題を仕掛けてやろうという算段だった。



 しかし……