翌日、つまり8月2日。


友達からメールが入り、僕は待ち合わせ場所である駅前広場にやって来た。


「藍ーっ、悪い、遅れた!」


クラスメイトの浩紀(ひろき)と春人(はると)が人混みをかき分けやって来た。


「別に、僕も今来たばかりだよ。ところで、今日は二人とも気合い入ってるな。」


服装や髪型が、いつもよりお洒落だ。


たかがカラオケ行くのに、どうしたのだろう?


「浩紀、お前…藍に言ってないのか?」


春人の様子がおかしい。

「だってさ、言ったら、来ないだろ。こいつ。」


何だよ、急に。
二人して、僕に隠し事か?


「藍、ごめん!騙したわけじゃないから!」


浩紀が手を合わせる。


「騙す?何が?」


「実は、他校の女子とカラオケ行こう、って事になってさ。一人足りないからお前を呼んだんだ。」


つまり、女の子たちと、カラオケ行くって事か?

「藍って、ほら、真面目そうだからさ。そういうのダメかと思って…ごめん!」


確かに、こいつらとは女子の話題とかしないもんな。


でも、それって単純に彼女持ちが誰もいないからってだけで。


「僕だって、彼女欲しいと思ってるよ。先に言ってくれればいいのに。」


「ほらな、浩紀は考えすぎなんだって!」


春人が、浩紀の背中を叩く。


「良かった。藍って、あんまり女子と喋らないじゃん?避けてるって言うか、昔からさ。」


「僕がじゃなく、相手が避けてるんだよ。全然モテないしさ…はは。」


自慢じゃないが、これまで僕には彼女は一人もいなかったし、好きになった女の子には、なぜか避けられ続けてきた。


嫌われるようなこと、した覚えはないのだが。


「不思議だよな。藍って顔もまあまあだし、絶対モテそうなのに。」


ありがとう、友よ。
そう言ってくれるのは、君たちだけだ。


「で?待ち合わせはどこ?」


「いつものカラオケ屋の前。そろそろ時間だな。」


僕たちは歩き出した。
何だか、緊張してきた。

どんな子が来るのかな。
かわいい子だといいな。