あれから数十年後――

あの事件がきっかけで、吸血鬼たちは姿をくらましてしまった。

私は、その吸血鬼と人間たちの間でどんな事件が起こったのかは知らない。

だけど、お互いに何か理由があるんだと思っている。

そして、今日私は十七歳になる。

「リーラ!」

「はーい」

私は、家から離れた村へと買い物に来ていた。

「リーラ!今日もお話してくれるの?」

「うん、そのつもりだよ」

「やったー!楽しみにしてるよ」

男の子は、軽く私に手を上げると行ってしまった。

「今日は、何のお話をしようかな?」

私の名前はリーラ、髪の色はビリヤードグリーンで、瞳の色はバイオレット。

私はこの村には住んでいない。

村から離れた森の中で一人で暮らしていて、よくこの村に来ては、小さな子供達に色々な話を聞かせている。

と言っても、私が幼い頃から読んできていた物語を、そのまま語っているだけなんだけどね。

「新しい本でも見ていこうかな?」

本が好きなのはお母様譲りで、よく私にたくさんのお話を読み聞かせてきれた。