「とりあえずは、風邪薬と貧血に聞く薬だな」

特定の薬を買い俺は屋敷へと帰る。

「ん……?」

帰る途中で俺は、さっきカルマと話していた人物のケフィンが、門の側で腕を組んで立っていたのに気づいた。

(これは、いかにも俺を待ってるような感じだよな……)

俺が居ることに気づいたケフィンは、ゆっくりと俺に近付いて来た。

(なんだよ、カルマが言っていたことと違うだろ?)

ケフィンは、俺より少し身長が低いが、冷たい目つきで俺を見てくる。

「久しぶりだねシェイド」

「あぁ久しぶりケフィン。カルマから聞いたぞ、お前第二番地位の跡取り息子になったんだってな?」

「そうだよ、跡を継ぐものは俺しか居ないから」

「地位を守る為に、カルマや俺と関わらないと?」

「そんなところだね」

「でも、俺と関わらないと言っている本人が、俺に何のようだよ?」

ケフィンは、ポケットから一通の手紙を取り出すと俺にその手紙を渡してきた。

「何だこれ?」

「第一番地位の吸血鬼様からだよ」

「何で俺なんかに?」

「さぁね、俺はそれを渡すように言われただけだから」

ケフィンは、そう言うと俺の隣を通り過ぎる。

「泣き虫だった奴が、えらい変わりようだな」

「俺はもう泣き虫なんかじゃない……」

ケフィンは、鋭く俺を見て来る。

「お前は、俺たちのことまだ親友と思ってるか?」

ケフィンにそう聞くが、ケフィンは何も言わずただ目を細めた。

「俺は、親友とかそんなのどうでもいいって思ってる。だけど、馬鹿が俺を親友って言ったんだ。だから、俺はお前を親友と思ってる」

こんな恥ずかしいこと、絶対カルマには言わない。

こんな事を言えるのは、ケフィンだけなのかもな。