ヴァンパイア・リーベ

「ここ数年、僕はケフィンには会っていないんだ。でも、最近上位地位の吸血鬼たちの集まりがあってね、僕はそれに参加したんだ」

「それで?」

「もちろん、そこにはケフィンも居た。久しぶりに会ったから話しかけたんだけど」

そこで、カルマは詳しく話し出した。

『久しぶりケフィン!元気にしてた?』

『カルマ……』

『もぅ、どうしたんだよ?そんな顔してさ』

『別に、俺よりも地位の低い君がよくこの俺に話しかけたなと思ってさ』

『えっ?』

その時会ったケフィンは、いつものケフィンではなく、別人に見えたらしい。

『今後俺を見かけても話しかけないでくれよ、地位の低い奴なんかと関わりたくないからね』

そこで、二人は別れたらしい。

と言ってもケフィンが離れていっただけだ。

「へ~、あの泣き虫ケフィンが言うようになったじゃねぇーかよ」

「僕も驚いたよ、ケフィンがそんな事言うなんてさ」

「それは当たり前なんじゃないのか?あいつは、俺たちの中でも地位が一番高い。第二番地位の吸血鬼っていう自覚が出てきたんだろ?」

「そうかもしれないけど、ケフィンが変わったのは、あいつが跡とり息子と決まってからなんだ」

「はっ?」

あいつが、第二番地位の吸血鬼の跡とり息子かよ……。

(うわぁ~、うまく揃ったもんだな俺たち……)

だけど、あいつが変わったからといっても俺には関係のないことだ。

それに、あいつも俺たちと関わりたくないと言っんなら、関わらけりゃいいだけの事だ。

第一番地位のしたの吸血鬼だ、怒らせて何をされるか分からない。

リーラの存在をあいつらに知られたら、リーラはあいつらの餌になりかねない。

「まっ、俺には関係のないことだ」

「またそう言う」

「本当のことだ、ケフィンが変わろうが変わらないだろうが知ったことねぇよ、俺は今忙しいんだよ」

「忙しいって医者に何か用事でもあるの?」

「えっ?」

気づけば俺は、目的地だった医者の家の目の前に居た。

「薬でも買うの?」

「そうだよ、そんな事聞いてどうする?」

「誰か風邪でもひいたの?」

「別に、ただ飼っている猫が風邪気味だから、薬をもらいに来たんだよ」

猫って……。あいつを猫扱いってのも悪くねぇな。

『くしゅん!』