ヴァンパイア・リーベ

「んじゃ俺行くわ」

「え~、待ってよシェイド!!」

「ついて来んなガキ」

「ガキってシェイドの方がガキじゃん、僕は十八歳の年齢で肉体成長止まってるんだからさ」

カルマの言う通り、俺たち屋敷の跡を継ぐものは、十八歳の肉体でと成長が止まる。

「それは残念だったな、俺も今日十八歳の肉体で成長は止まった」

「えっ!てこはシェイドも跡継ぐ気になったんだ!!」

「気になっんじゃねぇ、ただの気まぐれだ!!」

リーラの件がなかったら、後なんて継がないっつの。

そして俺に比べジェドやシドやレドは、俺と違って歳をとっていく。

もちろん、俺の体だっていつまでも歳を取らないわけじゃない。

子供ができたときに、俺の体は再び成長を始める。

今俺の隣を歩いている馬鹿のカルマもその一人だ。

「でも、僕よりシェイドの方が年上だったよね?」

「そんなの関係ねぇだろ、肉体が止まってりゃどっちも一緒だ」

「その通りだけどさ、久しぶりに会えた親友に僕は喜んでるんだよ、君は何も変わっていなかったからさ」

「親友って……」

俺は、こいつを親友に認めた覚えない。

ただの幼馴染みで、こいつが俺のそばを離れなかったから、勝手に親友とか言ってやがる。

「何も変わってないって、そんなの当たり前だろ」

「だってさ、数十年も部屋に監禁されてたんでしょ?何をしてお父様を怒らせたか知らないけど、数十年も部屋に監禁されてれば、僕だってシェイドは変わったって思うよ」

「それは良かったな、俺が変わってなくて」

「そうそう」

(ほんと、能天気だよなこいつ……)

馬鹿っていうか何ていうか、馬鹿以上だな。

「その言い草だと、お前の知り合いの誰かが変わったのかよ」

俺がそう聞くと、カルマは足を止めて悩んだ表情を浮かべていた。

「どうした?まさか図星かよ」

「そんな所だね、シェイドもよく知っている人物だよ」

「俺がよく知ってる人物?」

誰か居たっけ?

「ほら僕とシェイドでよく遊んだもう一人の男の子、第二番地位の吸血鬼」

「あー……、確かすっげぇ泣き虫のケフィンだっけ?」

第二番地位の吸血鬼は、俺の地位より上の存在だが、泣き虫だったケフィンもカルマと同じく俺のそばを離れなかった。

「んでそのケフィンがどう変わったってんだよ?あの泣き虫が変われるのか?」

「僕も最初は、耳を疑ったよ。あのケフィンがってね」

「……。何かあったみたいだな」

このカルマが真剣な顔つきになっている、てことはケフィンの身に何かがあったのは間違いないな。