ヴァンパイア・リーベ

『別にシェイドが付けてくれた名前も、嫌いじゃないんだけどね』

俺は、振り返って黒猫を見たとき、自分の目を疑った。

「?!!」

黒猫の姿が一瞬女の人に見えたからだ。

だけど、頭を横に振るけど黒猫は黒猫の姿のままだった。

「幻覚のかそれとも……」

黒猫が人間の姿に見えるなんて、そんなことありえる訳が無い。

「ただの見間違いだ」

俺は、目の前にある扉に手をかけ、外へと出る。

「久しぶりの街だな」

こんな森の奥に街なんてないと思うが、ちゃんとこの先には『吸血鬼の街』がある。

俺以外の沢山の吸血鬼たちが住んでいる街だ。

数十年前のあの事件は、他の吸血鬼たちには報道陣されなかったみたいだ。

もちろん、それは親父が言ったからだ。

地下の研究を隠すことと、地位を守る為に。

まぁ、そのおかげで街に行っても何も聞かれなくて住むんだけどな。

「だけど、あの狼の一族は、どっから俺の情報を手に入れたんだ?」

その件に関しては、後で調べるが、狼の一族等が人間を食うのが分からない。

前まで人間たちに興味を持っていなかった狼の一族が、急に人間たちを食い始めたのは何でだ?

「何か裏がありそうだな……」