ヴァンパイア・リーベ

「そんなの、ただの幻に過ぎないぞ」

「っ!」

その時、俺の体に鳥肌がたった。

「だけどなシェイド、親父様の言うことは絶対なんだよ」

俺は振り返り、その者の姿を見て後ずさる。

「じぇ、ジェド……」

「久しぶりだなシェイド」

「おっ!ジェド兄さん」

「ただいまシド、レド」

俺達の長男であるジェドが、鋭く俺を見つめてくる。

「久々に帰ってきたら、面白い事してるからさ、ちょっと参加しようと思ったんだ」

迂闊だった。

ここでジェドが来てしまったら、フェイを連れて逃げるのは難しい。

それに、シドとレドもいるんだ。

無事に逃げ切れる自信がない。

「さぁ、帰るぞシェイド」

「やだね、さっきの会話を聞いていたなら分かるはずだ。俺はお前達とはーー」

「縁を切るんだったな」

ジェドは、俺の胸ぐらを掴みグッと俺に顔を近づける。

「あのなぁシェイド、吸血鬼に生まれた俺達は、一生吸血鬼として生き続けるんだ。死なない限りな」

「そんなの知ってるさ、だから俺は人間になるために、この薬を飲むんだよ!」

俺は、ジェドの掴む手を払い除け後ろへと下がる。

「この薬は、地下の研究所から盗んで来たんだ。知ってるんだよちゃんと、上の奴らが吸血鬼が人間になるための薬の研究をしていることなんてさ!」

「そういや、研究者たちがやけに五月蝿かったな。五月蝿い原因はその薬ってわけか」

「この薬さえ飲めば、俺は――」

その時だった。

ジェドは俺との距離を縮めると、力を込めた拳を俺の腹にぶち込む。