ヴァンパイア・リーベ

「レド、覚悟は出来てんだよな?!」

「何それ?そんなの最初からないよ。それとも、また大切なものに手を出されたことを怒ってんの?」

「黙れっ!!」

シェイドは、力を入れた拳を壁へと叩きつける。

「リーラには、触れさせない。こいつは、俺の許嫁だ」

「は?」

「えっ?」

今シェイドは、なんて……。

「本当に馬鹿だな、救いようがないよ君は。あの女を消して人間がどういう者なのか教えたのに」

「これは、俺が決めたことだ。俺は、親父の後を継ぐことを決めたんだ。親父からはもう許可は得てる」

「へぇ……。あれほど後を継ぐことを嫌がっていたのに、一人の人間のためにそこまでするのか」

レドは、軽く微笑むと扉へと向かって歩き出す。

「待てよっ!」

「嫌だね、待ってたらシェイドに殴られるし。安心しなよ、しばらくはその子には手を出さない。父様から言われてるんじゃ、俺も何もできないからね」

レドは、そう言うと軽く手をあげて部屋から出て行った。

レドの姿が完全に見えなくなると、シェイドは私の元に来て私の頬に手を当てた。

「大丈夫か?」

「うん……、軽く血を吸われただけだから、多分大丈夫……」

「軽くなわけないだろ、顔色がさっきよりも悪い」

頬に手を当てていたシェイドは、今度はおでこに手を当てた。

「さっきより熱が上がってるな、レドのやつめ……」

「本当に大丈夫だから……、シェイドは気にしないでね」

そうシェイドに言うけど、納得できないのか、軽く舌打ちをした。