ヴァンパイア・リーベ

「まずは、俺たちは四人兄弟。俺は三男で、さっき会ったシドが次男、そして君を助けたシェイドが一番下の四男」

「長男は、どんな人なんですか?」

「そうだなぁ、今は他の吸血鬼たちとどこかに行っているようだけど、はっきりいうと兄弟の中では一番しっかりしている」

「そうですか」

「いや、そうですかって……。君ちっとも吸血鬼のこと怖がならいけど、一体君は何者?」

「えっ?」

何でそんなこと聞いてくるのかな?

吸血鬼を怖くないのは、幼い頃からお母様から吸血鬼の話しを聞かされていたから、だから怖がることなんてできない。

怖がるどころか、むしろ仲良くなりたいと思っている。

「吸血鬼と仲良くなりたいから……、だと思います」

「吸血鬼と仲良くなりたいから?」

レドは、驚いて目を見開いたけど、直ぐに元の表情に戻すと、目を細めて私を見てきた。

「じゃぁ、君は自分を人間だと思ってる?」

「もちろんです」

「ふーん、なるほどね」

何故かレドは、苦笑いで笑っていたけど、私変なこと言ったかな?

「でも、人間って言っているわりには、傷の治り方が早いよね?」

「えっ?」

「君さ、この屋敷に来てまだ二日しか経っていないだよ。気づいてたかな?君が狼の一族(ヴォルフ)から受けた攻撃の傷跡、もうすっかり塞がってるんだよね」

そんなはずない、あの傷の深さからして、この二日で傷が治るだなんて。

私は、狼の一族に攻撃されてところを手でさすってみる。

「っ?!」

だけど、いくらさすってみても、レドの言う通り傷はもう完全に塞がっていた。

「な、んで?」

それを見た私の体に悪寒が襲った。

でも、もしかしたらシェイドさんが何かしてくれたのかもしれない。

「君さシェイドがなにかしてくれたとか思ってるかもしれないけど、そんなこと吸血鬼に出来るわけないから」

そんな私の密かな願いを打ち砕くように、レドが現実を与える。

「じゃ、じゃぁ」

「その傷が完全に塞がったのは、君の力だよ」

その時のレドの表情を見て、私の体に鳥肌が立った。