ヴァンパイア・リーベ

「着いたぞ」

「あぁ」

屋敷の奥の部屋まで来た俺達は、目の前にある大きな扉をノックする。

「誰だ……」

中から低い声が聞こえる。

「シェイドだ。入ってもいいか?」

「入りなさい…」

扉に手を当てて軽く押す。

鈍い音を立てながら、俺は扉を開ける。

「……」

何十年ぶりに見る親父は、昔と変わらず色々な資料に目を通していた。

「そこに座れ」

「そうさせてもらう」

俺は、近くに置いてあるソファにどかっと座る。

シドは、俺の後ろで胸の前で手を組みながら扉に寄りかかっている。

俺の監視か?

「久しぶりだなシェイド」

親父が話し出し、俺は親父を軽く睨む。

「あぁ、久しぶりだな。今更俺を呼んでどうするつもりだ?殺す気にでもなったのかよ?」

「そう怒るな、私はお前を殺す気はない」

じゃぁ、何で俺を生かしている?

「お前には、この私の後を継いでもらわないといけないからな、そう簡単には殺せないさ」

「またその話かよ……。前にも言ったが、俺は親父の後を継ぐ気なんてないんだ。そういうのはジェドの役目だろ」

俺たち吸血鬼は、力や能力や知識といった三つの力を上手く使いこなせている吸血鬼が、親の後を継ぐことになる。

そして、俺は四兄弟の中でもその三つを使いこなせている。

長男であるジェドは力や知識があっても、能力に欠けている。

次男のシドは、能力と知識を持っているが力が弱い。

三男のレドは、力と能力が強く戦いに向いている存在だが、知識が足りない。

四男である俺は、その全てを上手く使えているが、俺はこんな力いらない。

力や能力や知識の全てを持っていたとしても、そんなの全く役に立たない。

「私は、お前が良いと言っているんだ。私の言うことは絶対だ」

「それで、また俺を親父の存在ということで縛り付けるのかよ……」

昔からそうだった。

親父のいうことは絶対って、俺はそう昔から教わって来た。