ヴァンパイア・リーベ

「良かった、貴方は無事だったんだ」

私は、子猫にゆっくりと手を伸ばし頭を撫でる。

「ミャ〜!」

子猫は、気持ちいいのか私の手に頭をすり寄せる。

「なんだ、起きてたのか」

「えっ?」

すると、奥の部屋の方からあの男の人が姿を現した。

「ずっと寝たままだから、死んだかと思った」

「変なこと言いますね」

「死にかけてたのは本当だろ」

男の人は、子猫を一度見下ろすと、私のおでこに手を当てた。

「まだ下がらないか」

「あの……、ここはどこですか?」

「ここは、吸血鬼(ヴァンパイア)の屋敷だよ」

「吸血鬼の屋敷?!」

ここが吸血鬼の屋敷なんだ、なんか想像していたより綺麗な感じがする。

「なんで私風邪なんて引いたんですか?」

「それは……まぁ……。はっきり言うと狼の一族の持つ菌がおまえの体の中に入ったんだろう」

「えっ?」

狼の一族が持つ菌ってなに?

「菌っつても、風邪と同じ菌だ。そんなに心配することはねーよ」

「そ、そうですか……」

良かった、風邪と同じなら直ぐに治るかな?

「それから、俺からお前にいくつか聞きたいことがある」

「何ですか?」

「お前の名前はなんだ?」

「リーラって言います」

「リーラか、それとお前は何で狼の一族に追いかけられていた?」

それは、私の血がなんとかって。

「私もよく分かりません、あの狼の一族の人が、私の血がどうとかって」

でも、結局他の人達と血の味は変わらないって言っていた。

「そうか……。じゃぁあの時のは――」

男の人は、ぶつぶつと何かを言っていた。

「あの、私からも一ついいですか?」

「なんだ?」

「貴方の名前は、なんて言うのですか?」

ずっと男の人ってのもいけないし。