ヴァンパイア・リーベ

吸血鬼は、再び手を構え狼の一族に襲いかかる。

けど、何度やっても避けられてしまう。

ちっ、意外と速いものだな。ここまで速いとは思ってなかった。

「まだやるつもりか?私はもう飽きたぞ」

「それは、こっちの台詞だ」

この戦いいつまで続くのかな?

今なら逃げられるかもしれないけど、なんでかここを離れてはいけない気がする。

「さてと、私はそろそろ味見をしたいのだ」

「はっ?」

「そこにいる女の味見をな」

その時、吸血鬼の目の前に居た狼の一族は一瞬にして消えた。

「っ!」

「どこに行ったの?」

私は、周りを見回す。

「どこを見ている、私はここだ」

私の体に再び鳥肌がたった。

その声は、私の直ぐ近くから聞こえた。

「ちっ、しまった……!」

「今度こそ、お前の血をいただくぞ」

「ひっ!」

狼の一族は、鋭く尖った爪を私に振りおろした。

「きゃぁぁぁぁ!」

私の肩に激痛が走る。

今まで味わったことのない激痛がーー。

狼の一族は、爪についた血を軽く舐めると目を細めて私を見下ろす。

「なんだ、ただの血ではないか。普通の人間どもと変わらぬな」

「えっ……」

視界が大きくぼやける。

さっきまで私のこの血の匂いがどうとかって、言っていたのに急になんで?