ヴァンパイア・リーベ

狼の一族(ヴォルフ)が、私に飛びかかってきた。

もぅ、駄目!

私は、抱き抱えていた黒猫を庇い目を閉じる。

だけど、飛びかかって来ようとした狼の一族は、突然飛ばされた。

「な、なに?」

何が起こったのか分からなかった、見えない何かに押された?

「たく、逃げるってことしろよな」

「?!」

すると、隣の木々の中から一人の男の人が姿を現した。

「だ、誰……?」

風になびくルビーレッドの髪に、私を見下ろすブロンドの瞳。

「俺のことは別にどうでもいいだろ?それより、早く逃げないとまた来るぞ」

「えっ?」

私は、男の人が視線を向ける先に、私も目を向ける。

「あぁ……ぁぁぁ……」

「こ、こわ!」

木々へと飛ばされた狼の一族は、ゆっくりと立ち上がると、ふらふらと歩きながら私達の方へと来る。

「何でお前みたいな奴が、人間を助ける」

「ただの気まぐれだ、じゃなかったら殺してる」

こ、殺すって私の事だよね?