ヴァンパイア・リーベ

「面白くなってきた」

レドは、怪しく笑うとその場から姿を消した。

屋敷の出口へと向かい、俺は外へと出る。

「確かに、狼の一族の匂いはするな」

俺は、その匂いを辿りながら森の中へと走り出す。

「複数いるかと思ったが、たったの一匹か」

一匹だけなら簡単に殺せるな。

匂いを辿りながら走っていると、狼の一族の匂いがはっきりとする所まできた俺は、木の上から狼の一族の様子を伺う。

「女の皮を被ってやがる」

爪を変形させ上から攻撃をしようとした時、狼の一族の目の前に一人の女がいる事に気づいた。

「何で女が居るんだ?」

ここからじゃはっきりと顔は見えない。

だけど厄介だ、人間に俺の姿を見られる訳には行かない。

「しかし、この匂いは何だ?」

嗅いだことのない甘い香り、だけどその香りに心をそそられる。

あの女からするのか?

俺は、狼の一族に気配を悟られないように、ゆっくりと木から下りて間を取る。

そこで、初めて女の顔がはっきりと見えた。

髪の色はビリヤードグリーン、瞳の色はフェイと同じバイオレットの色だった。

「それに……」

その女の腕の中に、何故かいつも俺の部屋に来る黒猫の“フェイ"が居た。

「勝手に外に出やがって」

俺は、女の目の前に居る狼の一族の様子を伺う。

「今にも飛びつきそうだ」

俺はもう一度、爪を変形させ狼の一族の隙を狙う。

「早く隙を見せろよ、そうしたら俺が容赦なく殺してやる」

俺の目が光る。となると、あの女も生かすわけには行かねぇ。

黒猫はともかく、あの女は何とかしないと。

そんなことを考えていると、女と狼の一族の会話が聞こえてきた。