ヴァンパイア・リーベ

レドは、そう言うと俺の側まで来た。

「父様からの伝言で、今日から君は外に出て良いことになりました」

「はっ?」

な、何で急に……?

「なんでも、狼の一族(ヴォルフ)の奴らが村へ行ったみたいなんだよね、しかも人間を食べに」

「へー」

「あれ?やけに冷めてるね」

「別に俺には関係のないことだ」

フェイ以外の人間達になんて興味ないからな。

「それで、父様がその狼の一族を殺してこいって」

「はぁ?!」

狼殺しを俺にさせるのかよ!

「父様言ってたよ、これが無事成功すれば、シェイドを自由にしてくれるってさ」

その言葉を聞き心臓が高鳴る。

「君が欲しがってた自由が手に入るんだよ。こんなチャンス逃す手はないよ」

いや、落ち着けよ俺、感情に流されるな。

親父がこんなチャンスを俺にくれる訳が無い、絶対裏があるに決まってる。

この時、俺はある言葉を思い出した。

『困っている人が居たら、助けてあげてね』

俺は、目を細めてフェイの笑顔を思い出す。

(仕方ないか……)

俺は立ち上がり、部屋の入口へと向かう。

「あれ?行く気になったの?」

「ただの暇つぶしだ」

レドにそう言い、俺は部屋から出た。