ヴァンパイア・リーベ

「愛しい奴の名前を付けるなんて、未練たらたらだな……」

俺は、青空を見上げ息を吐く。

「もう少し待っててくれよフェイ、直ぐにそっちに行くから」

だけど、今は無理なんだ。

親父の監視があるし、兄たちも俺の事を見張ってる。

俺がここから出られば、直ぐに死ねるんだけどな。

「何を考えてるのかな?」

「……何のようだレド」

「兄上って呼べよ」

部屋の扉の近くに、レドが寄りかかっていた。

俺は、こいつを許すことはできない。

フェイを……、殺したやつなんだ。

「でもまぁ、大人しくなったもんだよね。前まで俺達に生意気な口聞いてたのに」

「うるせぇよ、用がないなら出て行け」

「それは出来ないなぁ、父様に頼まれて君に話をしに来たんだ」

「話を?」

今更何だって言うんだ、今から俺を殺す気なのか?

ジェドは、直ぐに俺を殺すように親父に言ったみたいだけど、親父はこうして俺を生かしている。

何か理由があんだと思うけど、親父の言葉は信用ならねぇ。

「なら、早く話せよ」

「分かってるよ、俺だってこんな所早く離れたいからさ」