かすれた声で、どこか消え入りそうにそう言った夕咲は、私の知らない夕咲だった。
「だ、いじょうぶ」
──だから、思わず優しくしてしまっただけ。
「そばに、いるから。
どこにも行ったり、しないから……」
夕咲の表情が、かすかに和らいだ気がした。そのまま安心したのか、夕咲は再び眠ってしまった。──私をそのままにして。
「え、ちょ……嘘でしょ」
上に乗られたままじゃ、さすがに私も動けない。抜け出そうとしても、なかなか抜け出せなくて。
「ああもう……っ」
こうなれば恥ずかしくてもいいから誰か呼ぼう、と部屋にいるだろうメンバーに連絡しようとして。
「……あ」
スマホ……梓に、渡したんだった。
合うはずだけど、一応充電口合うか確認してくるね~と、甘い口調で言った彼は、私のスマホを持って部屋へ行った。
……最悪。
「夕咲、起きて……」



