「なぁ、」
「なに……?」
「もし、お前と俺が政略結婚するとしても。
正式にそれが決まったら、俺はちゃんとプロポーズするから」
「は、い……?」
政略結婚でプロポーズって普通、なの?
「お前、意外とロマンチストだからそういうの好きだろ。
お前のことに関しては詳しいんだからそれぐらいやらせろ」
やってくれるって言ったのに、やらせろっ確認取る必要あるの?まぁ、確かにロマンチックなことは好きだけど。
「私、結婚したら厳しいわよ?」
「ふっ。突然雨の日にびしょ濡れで来ても泊めてやれる俺が受け入れられねぇわけないだろ」
「うっ、ごめんってば……」
和泉が笑って、私に「倉庫行くのか?」と尋ねてきた。
頷けば、「そろそろお前の着替えもねぇから飯食ったら1回家まで送る」と言う和泉。
「朝ごはんは私が作るから。ね?」
「んー、じゃあ任せた」
ベッドを降りて、ふたりで部屋を出るとキッチンに向かう。
適当にメニューを決めたとき、後ろから包むように抱きしめられて、不覚にも心臓が跳ねた。