「いつから、」



「ん?」



「こんなに弱くなったの、私……っ」



口を開くのはいいけど、すこし嗚咽が漏れてきた。だけど、和泉がそんなことを気にするわけもない。



「いつから、なぁ……」



「わ、たし……

そんなに、弱くっ、ないのに」



なんで泣いてるのか、わからなくなってきた。泣く必要もないし、泣くほど私は弱くなかった。神無月の令嬢を、維持してきた。




「お前さ……なんか勘違いしてないか」



「かん、ちが……い?」



「お前は、俺が見てた限り強くなったことは一度もねぇし、ずっと弱かったよ。

──それを見て見ぬふりして強がってたことは、知ってるけど」



ああ、そうか。ずっと私は、弱いままで。一度も強くなれたことなんてなくて。でも、きっと、強がらなきゃ生きてこれなくて。



「でも、それに限界が来た。

それだけのことだろ」



和泉はそう言うと、「もう喋んなくていいから」と静かに私の髪に唇を落とした。



ひたすら泣き続けて、そこから意識がないから、きっと眠りについたんだろう。

そんな迷惑な女の面倒を毎回見てくれる彼には、本気で感謝しないといけないと思った。