「落ち着いた?」



「まるで俺が泣いてたみたいな言い方だな」



「ふふ。

私、あなたのこと嫌いじゃないわよ」



くすくすと笑って、優雅に紅茶を口に運ぶ羽歌。その仕草を見て、まぁ一応お嬢様なんだもんなと思う。



「……あのさ、羽歌」



「私ね、謝らなきゃいけないことがひとつだけあるの」



「謝らないとけないこと?」




俺の言葉を遮って、羽歌は口を開くとスマホを取り出す。そして、軽く操作すると俺に画面を向けた。



「こ、れ……」



「羽紗に連絡がつかないなんて嘘。

本当は、居場所も知ってるわ」



──羽紗からのメールが、ずらっと並んでいた。一番新しいものは昨日の夜に届いたもので、毎日ひとつずつ届いてるらしかった。



「別に、彼らに言っても構わないのよ。

でも、どうしても言わなかったのは……羽紗がいま、私の元彼と一緒に関西にいるから」



〝元彼〟〝関西〟



──まさか。