羽歌の言葉が、抱きしめてるせいでくぐもってる。



「信じられないかもしれない。

──でも、努力すればあなたは誰かのことを信じてあげられる。そうでしょう?」



「………」



「だって、あなたは優しいから」



落とされた言葉が、じわりと心の中に染み込んで。──あの日空いた空白を、埋めた気がした。



「私はね、羽紗じゃないの。だからあの子ほど優しくないし、あの子ほど誰かのことをわかってあげられない。冷たいから。

でも……その努力は、してるのよ」



きっと、俺の求めていた言葉はそれだったんだと思う。過去のことなんかじゃなくて。〝未来〟のことを、この先のことを、誰かに約束して欲しかった。




「……マジで、お前ってさ」



「何かしら」



「……なんでもねー」



羽歌の肩に、顔をうずめる。そうすれば羽歌が手で優しく頭を撫でてくれた。

──慣れてねぇ感、半端ない。まぁ、こいつが誰かの頭撫でたりするような性格じゃねーのは知ってるけど。



「素直になるって、難しいわよね」



どうしてかその優しさが、苦しいほどに俺の胸を締め付けるから。



──涙が溢れたのは、きっと、その苦しさのせいだ。