「あの日から……
俺は、澪に一度も会いに行ってない」
それに。
「澪……結婚したんだよ。その男と」
自分の親を通して聞いたことだけど、澪の結婚式には行けなかった。ただ、相手の名前が〝ユウキ〟だって聞いたから、あの時の男なんだと思う。
でも。結婚する前も、結婚した後も。
「毎年……
誕生日プレゼントだけが届くんだよ」
まるで義務のように贈られてくるそれは、俺への償いみたいなもんだって思った。メッセージも何ひとつない、綺麗にラッピングされた箱だけが毎年届く。
──きっと、今年も届くんだろう。
「そうやって俺の機嫌を取ってる。
いつか俺が、結婚相手にその昔のことを言うとでも思ってんのか知らねぇけど」
でも、あのひどい現実を突きつけられた誕生日の日から。
「もう、女のことは信じらねぇんだよ」
誰も信じないと。好きにならないと。
そう決めた。でも、羽紗は必死に俺と向き合おうとしてくれて。俺のことを、理解しようとしてくれて。
「いい加減、向き合ってやれ」



