それからはずっと順調で。たまにデートすることもあったし、勉強を教えてもらうこともあった。揺らぐことなく、俺はずっと澪のことが好きだった。
──今思えば、面白いぐらいに順調で。よくよく考えれば、仕組まれていたのかと思うほどに。
澪と付き合いが続いたある日。
「あれ、澪は……?」
──いつものように澪の元へ向かった俺は、出迎えてくれる澪がいないことに違和感を感じて。
でも、たぶん勉強でもしてるんだろう。それぐらいにしか考えてなかった。
でも、澪の母親はなぜか驚いたような顔をして。
「岬くん、もしかして知らないの?」
──嫌な、予感がした。
「澪、今日からひとり暮らしなのよ?」
「どこ、で……?」
「割と近くなの。
澪から聞いてなかったのね」
その言葉にほっとして、そのまま澪がひとり暮らしするマンションへの行き方を簡単に教えてもらって。
電車で2駅先の澪の家に向かった。
──だって、後悔するなんて俺は知らなかったんだから。いつものように、笑顔の澪が迎えてくれるって、信じてたはずだった。



