「ままっ、おかえりなさい!」



「あら、深音。ただいま。

ちゃんとお留守番できた?」



「うんっ、できたよーっ」



よしよし、と深音の頭を撫でて、羽歌は俺にも「ただいま」と声をかける。その腕には、叶音が抱かれていて。



「ぐずらなかったか?」



「うん、大人しくしてくれてたわよ」



羽歌が叶音を連れて買い物に行くのは正直かなり心配だったが、どうやらうちのお姫さまはお利口らしい。深音も小さい頃はあんまりぐずらなかったし。




「深音もお利口にしてたみたいね」



叶音を俺の腕に抱かせた羽歌は、キッチンに入って買ってきたばかりの食材をしまっていく。



叶音はじっと俺を見つめたあと、ふわりと笑みを浮かべた。叶音は人見知りらしく、初対面の人に対して泣く場合がある。



でも、俺のことも羽歌のことも、深音のこともちゃんと認識しているようで。



「和泉。今日、お母さん来るって」



「え、マジで」



昔は色々あったが、今は積極的に俺らを手伝ってくれる双子の母親。羽紗との仲も順調らしく、すげぇ助かるのは助かるけど。