好きだな、って思う。



何度もキスされて、自然とうるんだ瞳を彼に向けたら、優しく笑って「かわいい」って頬を撫でてくれるから。



「和泉、」



「ん?」



「和泉にこうやって甘やかしてもらえるのは、和泉の彼女の権限よね?」



暗闇の中で、和泉がふと動きを止める。



それから、何もなかったかのように、私の胸元にキスを落として。




「違うな」



「え、」



「彼女の権限じゃない」



じゃあ彼女じゃなくても誰かにこうやって優しくするの、なんて。ちょっとだけ泣きそうになっていたら、和泉が私の耳元で囁いた。



「お前だけの。羽歌だけの、権限」



──じゃあ、その権限ずっと守っててね。私はずっと、和泉のそばで笑ってるから。



【END】



(彼女のお願いに弱いんじゃなくて、俺が羽歌限定で弱いだけだっつーの)