「ふ。お前、俺が珍しく手出してこないって思ってるだろ」



「っ、」



「顔に出すぎなんだよ」



「……和泉のくせに」



「おいテメェな。

……まぁ、手出したいとは思ってるけど。お前今日疲れてるんだろ?」



こくん、と、頷けば、彼は「だからだよ」と頭を撫でてくるけれど。



「……最近ずっと忙しいって言ってたから、」




本当は、帰ったら今日ぐらいは彼の要望に応えてあげようと思っていた。最近本当に忙しそうで、休む暇もないから。



「なに?お前、期待してた?」



「そうじゃなくて、」



「羽歌」



唇が重なる。それだけなのに、思考を一気に溶かされたようで。



「……やめないで」



「ばーか。やめてやらねぇよ」