「……はぁ。どっちかにしろよ、羽歌」
「じゃあ羽紗」
「………」
「嘘よ。和泉」
羽紗の頭を撫でて、優しく腕を解くと、繋いでいた手に彼が指先同士を絡めてきた。
「っ、」
基本的に、和泉は外出しているときに私と触れ合うことを嫌うから。
だからこそ、こんな風に外で手を繋いでもらえるのははじめてで。
「和泉、」
「言っとくけど、お前が散々わがまま言ったから着いてきてやってるんだからな。
俺のわがままぐらい聞けよ」
ああもう、どうしよう。
──私。
「羽歌……って、本当に和泉のこと好きだよねぇ」
羽紗に言われて、はっと我に返る。