「羽歌ー!お待たせ!」



「ほんとに待たせるよな」



「怒らないの、和泉。

私たちが早く来ただけなんだから」



夕咲を置いて駆け寄ってきた羽紗の髪には、見慣れた彼女らしい花の髪飾り。



黄色く、夏の象徴でもあるそれは、羽紗の髪の上で輝いていた。



「えへへっ、和泉が来ないって言われたときはどうしようかと思った」



──彼女の笑顔も、ひまわりみたいだ。




「……来たくなかったんだよ」



「羽歌とイチャイチャなんてさせないからねっ」



羽紗の腕が私の腕に絡まってくる。



甘えてくる羽紗は、相変わらず私の妹だ。



「おいおい羽紗~。

それだと俺と和泉さんが行く意味ないじゃねぇの」



「えー?そんなの知らないもん」



ねー?と同意を求めてくる羽紗に小さく笑って、「じゃあ、こっちは和泉」と彼の手をつなぐ。