和泉が不機嫌に顔をゆがめる。



「だって、約束した日まで和泉は家にいるけど仕事しなきゃダメでしょう?

だけど、このチケットの有効日がその日までなの」



もったいないし、と言えば、彼は私の手にあった遊園地の無料招待券に目を通して。



「……んじゃ、ふたりで行くか?」



「ちゃんと見て。これ、1枚しかないの。

1枚で4人まで無料なの」



一緒に行かなきゃ意味ないのよ、と落ち込んでいれば、彼は「仕方ねーな」とつぶやく。



もしかして……。




「行って、くれるの?」



「遊園地ぐらいいつでも行けるけどな。

ま、入ってからアイツらと別れて、そのあと合流すればいいだろ」



「ほんとに……?」



「お前調子乗って絶叫系乗りまくって、気持ち悪くなるパターンだから。

俺が仕方なく面倒見てやる」



「ふふっ、やった」



「貶してるって理解しろよ」



軽く私の頭を小突いた彼は、優しく引き寄せてきて。好き、と紡いだ唇は間もなく塞がれた。