「ねぇ、ダブルデートしたい……」



お願い、と。



今日何度目かのお願いをして、彼の背中に抱きつくと、彼は「嫌だって言ってるだろ」とため息をつく。



むう……ケチ。



「なんで嫌なのよ……」



「デートを一緒にする意味がわかんねぇ。

それならふたりでデートする。ほかのヤツの隣でイチャつくのは無理」



だから嫌だ、と。振り向いた和泉の目元には黒縁のメガネがあって。普段コンタクトだからこそ、なんだかドキッとする。




「えー」



「したいならアイツらのとこ混ざって3人で行ってこい」



「それ私完璧に邪魔……っ!」



「とにかく、お前とふたりじゃねぇならデートはしない」



羽紗と、せっかく4人で楽しもうねって約束したのに。わざわざデートプランまで考えたのに。



でも、和泉は私たちの中で唯一年上なわけだし、無理もないか。



「じゃあ……ほんとに3人で行こうかな」



「は?」