「実は、ずっと好きだったんじゃないですか?

自分で気づいてなかっただけで」



「……そうかもな」



好きだったとは、思ってねぇけど。



もしかしたら。心の奥底で、どこか好きだったのかもしれない。いとこという関係に、隠れながら。



「ま、俺は和泉さんがいつから羽歌のこと好きであろうと、どうでもいいので帰ります」



お前からその話題持ち出してきたんだろ……。



はぁ、とため息をついて今度こそ帰った岬に取り残された俺は、退院の日迎えに行くか、と考えながら。




帰ったら、マンションに羽歌の物を置くスペース作るか、なんて。



この先の話を想像する。



たぶん、割と幸せに暮らせるはずだ。



羽歌と、付き合えればの話だけどな。



「初恋、ね」



初恋は実らない、なんて言うけど。



俺の初恋が実るのは、それから間もない頃のことだ。