すべての赤い糸は、複雑に絡み合って。



「そういえば、

どっちにしても俺のもんだったよな」



「はい?」



「だってさ、

お前と俺って婚約者だったじゃん」



「………」



「岬も乃唯も咲乃も、

どっちにしても手放すことになってたな」



そんな言い方しなくてもいいのに。




「あなたを選んだの、間違いだったかしら」



「冗談に決まってんだろ。

お前は素直に俺に甘えとけ」



「晩ご飯ビーフシチューね」



「その甘えじゃねーよ」



くすくす笑いながら、彼の腕の中で、そっと身を寄せる。



──彼らの中で、あなたを選んだこと。



私はきっと、後悔なんてしないから。