「柚ちゃん……」



そう。稀沙の彼女こと、柚ちゃんだ。



「タイミングいいなー」



「ほんとですか?」



「おー。ちょうどその話してたとこ。

車、近くに止めてあるから行くぞ」



和泉が、手を引いて歩き始める。私と彼のつながれた手を見て、柚ちゃんはニコニコしていた。



いや、ニヤニヤに近い?




「前から思ってましたけど

和泉さんと先輩って仲良いですよね」



ああ、そっか。前に柚ちゃんと出会ったとき、私は和泉とデート中だったものね。

岬がいたけど、柚ちゃんが深い事情まで知ってるとは思えないし。



「まー、いとこだもんな」



「小さい頃から一緒にいるものね」



「可愛がってやってんだから感謝しろよ」



「懐いてあげてるんだから感謝してちょうだい」



「手懐けられてんもんなー、俺に」