「ねぇ、和泉……起きてる?」
「どした……?」
晩ご飯の食材を買うついでに、必要なものをマンションまで取りに行って。約束通り作ってくれたビーフシチューをふたりで食べて。
お風呂に入ったあと、ゆっくりした私たちは、自然と一緒にベッドに入ったのだけれど。
恋人に、なったわけで。
今まで通り、添い寝なんて出来なかった。彼に背を向けたまま、なかなか眠れなくて。
彼に声をようやくかけてみたけど、返ってきた声はどことなく眠そうだ。
「本当に、これでよかったのかしらね」
「………」
「岬も、咲乃も、乃唯も。
みんながそれぞれ私のことを想ってくれてて。岬は、ああやってそばにいてくれたのに」
──私が、ここで和泉を選んだことは、正しかったんだろうか。
いや、誰を選ぶのが正しかったんだろう。
「あー……」
言いにくそうにしながら、彼が私を後ろから抱きしめる。