いつもなら、険しい表情しか見せてくれないのに。



「さぁ。自分で確認しろよ」



心なしか明るい表情と、いつもと違う返事に、ほんとに!?とノックなしで部屋に入るけど。



「……え?」



──純白のベッドは、もぬけの殻。



どういう、こと?



「……あら、みんな。来たの」




頭の中で状況を整理していれば、柔らかく紡がれた声が後ろから聞こえて。踵を返して、思わず私は抱きついていた。



「羽歌……っ」



「相変わらず、ね」



「ふぇ……よかった……っ」



「ちょっと、泣かないでちょうだい。

──毎日、こんな感じだったの?」



呆れた声でも、なんでもいい。羽歌が無事に目覚めてくれたんだから、それで十分。



──あの日、崩れ落ちた羽歌はその日から気を失っていて。今日、ようやく目が覚めたらしい。

流石に夏休み明けで学校は休めないからと、学校終わりに毎日病院へと通っていた。気を失っただけだから、そこまで危険な状態ではないとわかっていたけど、やっぱりすごく安心した。