【side羽紗】



「あっつ……これで夏休み終わったとか、マジで言ってんのかよ」



「仕方ないよ。夏なんだから」



「お前マジでうるせぇな」



「岬に言われたくない」



「なんだと?」



「はいはい、ふたりとも。

その言い合いが何よりも暑苦しいって自覚して。俺だってさっさと柚のとこ行って癒されたいんだから」




──岬との言い合いを、稀沙に遮られて。さらりと入ってきた彼女とのノロケに頬を膨らませれば、乃唯に宥めるように頭を撫でられた。



どうも、子ども扱いされてるようでイラッとする。



──大好きだけどね。



「あ、みんな……っ!

僕は陸のとこ行くから、またねー」



ひらひらと、梓が手を振る。



嬉しそうな表情に「またね」と手を振れば、梓は慌ただしく駆けていった。



それに小さく笑って、それからまたみんなで歩みを進める。

──そういえば、夕咲はどこ行ったんだろう。