はらりと散った佐原の涙は、



それに対する、梓への答えなんだろう。



「ごめん、っ」



「………」



「八つ当たりして、巻き込んで、ごめん……っ。

俺にとって、梓は……ほんとは、梅葉よりももっと大切な存在だったのに……」



「り、く……」



梓の瞳から、涙がこぼれ落ちて。このふたりなら、きっと大丈夫だろうと、確証もなくそう思った。




──その瞬間、安堵したせいか、全身から力が抜けて。



「羽歌……!」



誰に名前を呼ばれたのかまでは、



わからなかったけど。



「っ……」



崩れ落ちた暗闇の中で、誰かに抱きとめられたことだけは、理解できて。



──私はそこで、意識を手放した。