──〝切り捨てた〟



和泉がそんな言い方をするってことは、きっと、何か非があったのは佐原のほうなんだろう。



だって、和泉は人に対してとてつもなく優しいから。



相手が悪くないなら、彼はそんなことを言わない。



「罪のねぇヤツに手出して喧嘩になった。1回ならまだしも、あまりにもひどかったから必然的な判断だ」



「それでも、切り捨てられた俺にとっては心響は恨みの標的。

周りにも心響を恨んでるヤツばっかりだったし、梅葉に捨てられたのもあって心響に手出そうってね」



誰もが迷いもなく手を伸ばすことができたら、誰も傷ついたりしないのに。




「そんな、理由……?」



「〝そんな〟……か。

おまえのせいで、俺の人生は狂ったのに」



「っ……」



梓の顔が、ひどく歪んで。



「ご、めん」



「梓、謝らなくていいだろ」



「そうじゃなくて……

──あの時、向き合えなくてごめん」