そして、突然静かな部屋に音が鳴り響いて、羽紗が肩を震わせる。



音の発信源は羽紗のケータイだったらしく、取り出した羽紗は驚いたようにそれを耳に当てた。



「う、た……?」



『───』



「っ、よかった……」



安心した顔で、羽紗が乃唯を見上げる。無事、なのか。拉致されたのに電話してくるってことは……男たちはそばにいないのか?



『───』




羽歌が何を言ってるのかまではわからないけれど、漏れてくる落ち着いた羽歌の声に、安心した。とりあえずは無事なら、それでいい。



「え……?そ、んな」



『───』



「っ、なんでそんなに落ち着いてるの……」



『───』



「っ……わかってるよ。

絶対に助けるからっ、待ってて」



羽紗が、顔を上げる。それから、羽歌の居場所と思われるところと、「あと30分」という謎のタイムリミットを告げた。